1400年の温泉地でブラボー!な体験漬けの
7日間
【6日目】
  • 知る・学ぶ
  • 創る
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  6. 6日目
  7. 7日目

そして有馬は華やかで艶っぽい花街(かがい)でもある。

有馬・クアワーケーション 
体験レポート

古墳と古代オタクのライターが、有馬温泉が取り組んでいる「有馬・クアワーケーション」を体験。取材をし、温泉に浸かり、
美味しいものを食べ、さまざまに用意された愉しきプログラムに参加した充実の日々をレポートに綴ってみた。

お座敷芸体験

京都だけでなく、有馬にも芸妓さんがいる。その歴史はなかなかに古い。

有馬ではかつて温泉客の世話をする人々を「湯女(ゆな)」と呼んでいた。有馬で湯女という言葉が史料に登場するのは室町時代からで、豊臣秀吉も湯女に禄高を与えたという史実もあるそうだ。明治16年(1883)、その呼称は廃止され、以来、湯女は「芸妓(げいぎ)」となっていったという。全国の温泉地の芸者さんのルーツも湯女と言われている。

細い路地に面して、[芸妓カフェ 一糸(いと)]がある。ここは、平成27年(2015)に、有馬芸妓の拠点であった「有馬検番(けんばん)」の1階フロアを、舞台のあるカフェバーにリニューアルした店だ。
現役の芸妓さんや半玉さんが常駐し、敷居の高いイメージがあった芸妓の踊りやお座敷遊びを身近に楽しめる場になっている。

検番とは芸妓さんが所属する置屋をまとめる組合のことで、兵庫県内に唯一残る最後の検番が「有馬検番」だ。現在は「田中席」を残すのみで、実質、最後の置屋「有馬検番・田中席」と呼ばれている。
この由緒ある場所で、お座敷体験をさせていただけるのだ。
まず、芸妓の一菜(いちな)さんが、有馬芸妓のさまざまをひも解いてくれた。

芸者や芸妓は「一人前」。
半玉(はんぎょく)や舞妓は「半人前」。
芸者や芸妓になると髪型は「島田髷(まげ)」。
舞妓や半玉の髪型は「桃割(ももわれ)」……などなど。聞いているだけでも興味深い。

その後、一菜さんと半玉のさくらさんが、有馬おどりをそれぞれ舞ってくれた。
一菜さんは大人の静かな色気を感じさせ、半玉のさくらさんは初々しい愛らしさが溢れて、それぞれの魅力が華やかな舞台をかたちづくる。これはお酒を飲みたくなるなあ。

有馬おどりの鑑賞のあとは、舞台に上がって、いよいよお座敷遊び体験をする。
台の上に椀を置いて、さくらさんと向い合って座る。「金比羅ふねふね」の歌に合わせて、椀に交互に手をのせる。片方が椀を取ったら相手はグー、そのままなら、パーを出す。
タイミングを間違えたら負け。シンプルな遊びなのだけど、ちょっと気が緩むと間違ってしまう。負けるとまた、意地になってしまうのも面白い。

次の遊び、「投扇興(とうせんきょう)」は、なかなか優雅だ。
桐箱の台座の上に立てられた「蝶」と呼ばれる的へ、綺麗な絵柄の扇子を平行に投げて、落としたら勝ち。落ちた時の形によって得点を争うらしいが、まず、落とせないし(汗)、当てられない。いや、ほんと、扇子がまともに平行に投げられないのだ。
「力を抜いてスーッと投げてみて」とさくらさんに言われても、無理、無理。
何度もトライして、ほんの1回、まぐれで落とすことができた。
これはなかなか爽快だった。

お座敷遊びは、遊ぶ側も嗜みと教養が要ると聞いたことがあるけれど、確かにそうなのだなあ。互いをリスペクトして遊ぶ、まさに大人の世界を間近に見ることができた。

お座敷芸体験 心華やぐお座敷文化体験

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立体感のある路地の街

有馬温泉の町歩きはとても楽しい。細い路地が縦横に連なっていて、寄り道三昧が楽しめる。小さなエリアだから多少、寄り道しても迷うことはない。路地裏にちょっと素敵なかばん屋さんがあったり、コーヒーのいい香りがしてきたり……。曲がりくねった向こうに何があるんだろう? とワクワクさせるような小道が次々に現れて、飽きることがない。

いろいろな宿のご主人をモデルにしたという「飛び出し坊や・有馬編」のような、奇妙で不気味な(失礼w)看板も時々見かけるが、これもまた面白い。

塗香体験

塗香(ずこう)とは密教や禅宗の寺でよく使われるもので、別名「清め香」とも、いわれている。
み仏に礼拝する前に清めの意味で、手に少量とって体に塗って、それからお参りをする。
香木や漢薬などの香原料をごく細かいパウダー状にして、混ぜ合わせたお香で、その字の通り、手のひらにパウダーをのせて、すり合わせで使う。
体温の温もりで、香りが広がり、和の香りを身にまとうことができるのだ。

写経の前などにも手のひらですりあわせて、心身を浄めるために使われている。そういえば、写仏体験でも塗香を使わせていただいた。

今回は、オリジナルでマイ塗香をつくる、というクア・プログラムに参加。講師は大阪のお香の老舗、長谷川仁三郎商店の代表、田中剛史さんだ。
会場に入ると、もう、和の香りが満ちている。

まずはお香の歴史、香木のこと、お香の材料、種類などを教えてもらう。とてもわかりやすい解説で、お香の歴史や基礎知識が染み込んでくる。ここからが、実践だ。

白檀(びゃくだん)や桂皮(けいひ)をベースにした塗香ベースに、さらに白檀、桂皮などを加えて、最後は自分のお好みの香りを加える。ローズ、ラベンダー、ジャスミンなど白檀のパウダーに精油をブレンドしたもので、どの香りもなかなかよくて決め難い。わたしは精油の中で一番好きなゼラニウムをセレクトした。

素材のパウダーをボウルにいれてよく混ぜて、さらにふるいに2回かける。ダマにならないよう、さらさらのパウダーに仕上げる。
手につけて揉み込んでみると、ゼラニウムが白檀などの強めの香りに負けず、とてもいい感じで馴染んでくれている。和の香りは強すぎず、自分がメインで楽しむような控えめな香り方なのもいい。

塗香を小さな容器に入れておみやげにしてもらう。もっと小さな容器に入れて、持ち運んで使うのも素敵だな。

ラストに田中さんが希少な沈香や白檀を焚いてくださる。
室内に燻るなんとも気高い香りがふわりと満ちてくる。
聞香(もんこう)をさせていただくと、同じ香木でも甘み、あるいはシャープな辛みなど、聞き分けることができることに驚く。

香りってほんとうに深い。
和の香りは、日本人の感性に、脳に、体に深く心地よくフィットするなあ。心身がリフレッシュして、良い「気」をたくさんいただいた気がした。

塗香体験とマイ塗香作り 香りを知り、身にまとう

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